ちょっとの勇気
サッカー
サッカー
もうすぐ夏休みに入る
暑い太陽はアスファルトをジリジリ照らし
ユラユラと陽炎を出す
放課後-
『ヘイ!!翔輝!!』
『オーイコッチコッチ!!』
『おめーそっち入れ!!』
『へいこえだぜー!!』
彩璃「元気だなぁ、サッカー部」
見とれる私、何してるんだか
サッカー部を見てる……まぁ
それが嘘ってわけではないけど
もっと言えば、
多田をみてる。
昇降口から見える野球部とサッカー部は
広いグランドを半分ずつ使って毎日練習してる。
多田は背番号7番。私はこの背中が大好き。
『よぉーし、一旦休憩~』
顧問の橋本先生の声が聞こえたので、
私は焦って陸上部のサブグランドへ行こうとする。
サッカー部のたまり場はココ、昇降口。
多田に見つかっちゃうよ///
走る。サブグラへ。
すれ違う。
目を合わせないようにする。
…………
目が合う。
走る。
走る。
サブグラへ。
私の目は、大好きな目を見ている。
走る。
大好きな手が、肩の上まで上がる。
私に向かって、手を振った大好きな人。
何もせず、何も言わず、通り過ぎた。
『はぁ、はぁ、はぁ、こわかっったぁ!!』
サブグラにつき、私は自分の行いを後悔した。
彩璃「無視……しちゃ……た……?あた…し…」
無視した、手を振ったあいつを無視した。
なんてことをしたんだ。
土のグランドにため息をこぼした。
梨奈「あーやーりっ!!おっそい!!なぁにしてたのよ!!」
彩璃「えへ、ごめんごめん」
梨奈「何してたか正直にいいなさい」
彩璃「み……みて…た//」
梨奈「やっぱり。もう一途はホント困る。でもアンタのいいトコよ。まぁとりあえずアップやっちゃいな」
彩璃「うん、わかった。
あ、梨奈!!後でさ数学のプリント貸して
くれる?」
梨奈「はぁ!?授業中にやっちゃえばよかった
のに~、まったく」
彩璃「違うよ、た…多田がやってくれるって
言うから頼んだのに、あいつ
全然答えあってないんだよ!!」
梨奈「また翔輝かぁ、…ねぇ、彩璃、」
彩璃「うん?」
梨奈「やっぱりさ、翔輝、好きだよ、
彩璃のこと、」
ビクッ
彩璃「え、えええええ!!
そ、そんなことがほんとにあったら、
あ、あたしっ、死んじゃうよぉ」
梨奈「ふ、死なないから、まぁあくまで
あたしから見た意見だからね。
と、とととりあえず!!アップ!!
ほら!!行ってきな!!」
彩璃「え?え!ええ、あ、うん、あ、あああ
い、いい行ってくる!!」
梨奈「(どんだけ慌ててんのよもう)」