わがまま姫♀
だけどそれもつかの間。
再びみんなが騒ぎ始める。
「転校生だって!」
「カッコいい人来ないかな!」
女子たちが口々に言う。
「可愛い子よ、こいこい!」
「せめて女子をくれ!」
男子たちが口々に言う。
べっつに、どっちだっていいよ。
「ねぇねぇ、カッコいい人来るかなあ?」
前の席の遥が振り向いて、目を輝かせながら言う。
「…でも遥、好きな人いたんじゃなかった?」
「ま、それはそれ!これはこれよ!」
「あ、そう…」
見ての通り、これが遥だ。
好きな人がコロコロ変わったり、彼氏ができてもすぐ別れたり。
「今沢、入ってきて」
クラス全員の視線が、教室の前側のドアに集中する。
“ガラガラガラッ”
1人の男子生徒が入ってきた。
……お?
結構イケメンじゃない?
…………。
…………。
……って。
あ゙ぁぁぁああ~~!!!
みんなの視線を浴びておきながら、少しも緊張した様子もなく、堂々と入ってきたアイツは間違いない。
……口悪男だった。