わがまま姫♀



先輩たちは、旧校舎の方に向かっている。



旧校舎といえば、壊れた机や椅子、その他にもゴチャゴチャと廃棄物が散乱している。



今やごみ箱状態の建物だ。



普段はめったに人が足を踏み入れない。



昼間だというのに、なぜか薄暗い教室や廊下。



……不気味だ。



「ここでいいんじゃない?」

「そうね」



先輩たちは、ある教室に入った。



それに続いて、あたしもその教室に足を踏み入れた。



瞬間、目の前が真っ暗になる。



「っ?!」



両手をつかまれ、後ろで縛られている。



視界を塞がれ、何も見えなくなった。



抵抗しても、複数にはかなわない。



「いった!離してよ」

「うるさいんだよ!」



……それに。



なによりもあたしがかなわないのは。



暗闇だ。



視界が真っ暗で何も見えない。



あたしがなによりも嫌いなもの。



なによりも恐怖を感じるもの。



怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…。



「あら、急におとなしくなったわね」




< 131 / 566 >

この作品をシェア

pagetop