わがまま姫♀
慌てて教室から出たら、誰かとぶつかってしまった。
「スミマセ…ん…」
なんと、ぶつかった相手は椎野百合果…!
ついさっき、姉の方とゴタゴタがあったばかり。
「…桃井さん」
「あ、ハイ…」
なにを言われるのやら。
「さっきは、姉が酷いことしたみたいで悪かったわ」
「えぇ…!?」
予想外の百合果の言葉に、すっとんきょうな声が出た。
「姉からさっき連絡があって、桃井さんと流くんに、私からも謝っといてって」
「そっ、かぁ…」
なんか、本当に一件落着じゃん。
「でもね桃井さん」
緩んでいたあたしの顔が、一瞬にして再び引き締まる。
「流くんを諦めたわけじゃないから、油断しないでよね」
そう言うと、百合果は教室に入っていった。