わがまま姫♀
「………」
「………」
沈黙が続いた。
流の目なんて見れなくて、キョロキョロ目を泳がせてたらフッと、視界に入ったもの。
それは、腕まくりした流の腕にある青あざ。
「流…」
声が震えてるのが、自分でも分かる。
だけど今は、それどころじゃなくて。
そんな声の震えとか、どうでもよくて。
あたしは、あざを見つめたままそっと流に近づいた。
「…これは、ぶつけたんだよ」
流は袖をおろしながらそう言って、あざを隠した。
ぶつけたぐらいじゃ、ここまでのあざはなかなか出来ないよ。
あざは青紫色で、全体的にポッコリ腫れ上がっていた。
痛そう…。
なんてレベルじゃない。
痛々しくて、見ていられない。
「…嘘、つくな」
「………」
あたしが…
あたしが殴られておけばよかったのに。
「痛い、よね…」
「…別に」
あたしのせいなのに。
あたし、また「ありがとう」って言えてない。