わがまま姫♀
ただ姫央に、傷をつけたくなかった。
ただ姫央に、痛い思いをさせたくなかった。
それだけで、アザつくってまで、守らないといけない気がした。
……なんで。
なんでだよ。
俺、ネジはずれすぎじゃねーのか?
そんな俺に、椎野悠花は言った。
「昔の流くんは、そんなんじゃなかったでしょ」
そうだよ。
俺は、女のためにアザをつくったことなんて、一度だってねーよ。
おかしいんだよ。
最近の俺は。
そんなの俺が1番驚いてる。
姫央と2人っきりになったかと思えば、またまた俺は壊れた。
コントロールがきかない。
無性に触れたくなる。
その後の反応が見たくて。
俺は大丈夫だろうか。
いったいネジがいくつ取れたんだよ。
アザが見つかってしまった時なんて、姫央は震える声で、「ありがとう」って確かに言った。