わがまま姫♀
「別に、着替えてるんだからいいだろ」
「ま、まだ…着替え終わってないんだけど…!」
俺は姫央の体を、上から下まで一通り眺める。
「…どこがだよ」
けど、この位置からは、完璧に着れているようにしか見えない。
「ど、どこって…それはその…」
口元をゴニョゴニョさせて、はっきり言わない姫央。
「…なんだよ」
「………」
黙ったら分かんねーだろ。
なぜか俺まで黙りこくってしまう、そんな空気。
「…なか」
「なに?」
やっとゴニョゴニョから解放されたらしい。
「せ…背中に…手届かない」
んっだそれ。
手が届かないって。
そのくらい、照れずに言えないのか。
「見せろ」
「い、イヤだよ!!」
そこまで拒否られると、なんか傷付くんだけど…。
「は?ならどうやって着るんだよ」