わがまま姫♀
今更どう足掻いたところで、もう手遅れじゃない?
あたしだって、こんな自分が好きなわけがない。
そんなあたしは、もちろんの事モテないよ。
彼氏だっていなければ。
言い寄って来る男もいない。
だけどさ、恋愛したってあたしは多分、親に決められた相手と結婚するんだよ?
だったら始めから、恋愛なんてしない方がいい。
ってなわけで。
「牧原、もういいよ」
「失礼しました」
牧原とは、あたしが小さい頃からずっと一緒にいる。
あたし達姉弟の、お世話係なんだよね。
「姫央、これ返すよ」
たった今、あたしの部屋に入って来たのが弟の陽向(ひなた)。
あたしの2つ下の、中学3年生。
物心ついた時にはすでに、呼び捨てにされていた。
「…なんだっけ?」
「教科書だよ」
教科書…?
そんなの、
「貸したっけ?」
「借りただろ!」