わがまま姫♀



例え桃井財閥は持ちこたえられたとしても、今沢財閥はどうなるの。



持ちこたえられるの?



違うでしょ?!



「……っ…」



良いわけない。



流は、優しすぎなんだよ。



優しいから、あたしのこと好きになるって言ってくれた。



優しいから、こんなあたしでも受け止めようとしてくれた。



じゃぁさ、あたしを好きになって。



本当の婚約者になってよ。



ファーストキスまで奪っておいて、今更婚約破棄だなんて、そんなのってないよ。



なんでキスしたの?



なんで守ってくれたの?



ねぇ、なんで?



「…無理だよ」

「え?」

「あたしはあんたが好きなんだもん!結婚したいんだもん!仕方ないじゃん!!」



涙と一緒に、とんでもない台詞が飛び出した。



こうなったら、もういいよ!(←やけ)



今までさんざん悩んで来たけど。



それも全部、無駄になるけど。



もう知ったこっちゃないよ!!



「え…は?!今なんて…」

「ブァァーーカ!!!」



そう流に言い捨て、あたしは走り出した。



人混みを泣きながらかき分け、自分の教室に向かった。



……最悪だ。



あたしの馬鹿。



取り返しのつかないことしちゃった…。



涙が次から次へと溢れ出る。



「……っう…」



“ドンッ”



「きゃ…!」



下ばっか見てたら、思いっきり人にぶつかってしまった。



「あ、姫央じゃん…って、えぇ!?」



顔を上げると、驚いた陽向がいた。



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