わがまま姫♀
そのまま俺は、この家のテラスまで来て姫央を下ろした。
「「………」」
お互い黙り込む。
仕方ない。
勢いであんなこと言ったわけだし。
頭の中も、混乱してるんだろう。
「……本当なの?」
テラスのさくに手をかけて、俺に背を向けたまま姫央は言った。
「…なにが」
「さっきの」
「あんな嘘、親の前で言うと思うか」
姫央は小さく首を横に振る。
「前に言っただろ。俺はお前を好きになるって」
「あれは、たて前だと思ってたし」
「まぁ、半分は」
「それにあたし、あんな事言っちゃったし」
あんな事…?
「ほら、好きなのは過去の話だとか」
あぁ、そういや言ってたな。
初めから、本気にしてないから忘れてた。
………。
ちょっと意地悪したくなった。
「なら今は?」
姫央は振り返り、俺を見つめる。
「それだって過去の話しだろ。今はどーなのか答えろよ」