わがまま姫♀



すっかり負けた気でいる俺は、さらなる意地悪を仕掛ける。



「…物足りない?」

「そ、そんなこと誰も言ってないでしょ!なに言って……んんぅ…!」



これで今日も、俺が勝ちだろう。(←勝ち負けじゃない)



「……っ…はぁ…っ」



唇を離すと、さっきよりもよりいっそう赤い顔の姫央。



「も、物足りないなんて言ってないっ!」

「婚約者なんだから、いつしたっていーだろ」

「………(恥)」



姫央の戻りかけてた顔が、再び赤くなった。



それを見て俺の頬まで熱くなる。



「お前…なに赤くなってんだよ」

「う、うっさい!アンタだって十分赤いじゃん!」

「…暑いんだよ、俺は」



今更ながら、婚約者って言葉に照れる。



表面上だけじゃなく。



政略上でもない。



「俺のこともっと好きなんだろ?」

「んなっ…最低!」

「なにが」

「もううるさい!」



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