わがまま姫♀



あたしたちは係の人に誘導されて、観覧車に乗り込んだ。



ふぅー…。



やっと一息。



もう最悪だよ。



アイツ、あの津戸の笑みがムカつくんだよ!



流が向かい側のいすに座って、外を見てる。



そんな姿でさえも、かっこいいよ。



「…あのさ」

「なに」

「流は、今沢財閥の次期経営者…だよね」



流は視線を窓の外からあたしへと移した。



「当たり前だろ」

「それって忙しいの…?」

「まぁ…今よりは」



ちょっぴり考えた。



あたしたちの将来を。



流は今沢財閥の社長さんになって、今よりもっともっと忙しくなっちゃって。



あたしなんかと、こうやって遊んでくれなくなっちゃうんじゃないのかって。



もしかしたら、2人で遊園地に来るのも、これが最後になるんじゃないかって。



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