わがまま姫♀
ただそれだけだ。
ただそれだけで、平生でいられなくなるほど、俺はお前に溺れているらしい。
別になにもなかったらなかったで、仲直りでもなんでもしてやるよ。
なににもなかったら。
「……はぁっ、くそ…!」
なんで3階なんだよ!
なんで1番端っこなんだよ!
遠いんだよ!
階段を、今まで上ったことないぐらいの速さでかけ上がる。
廊下を、今まで走ったことのないぐらいの速さで走る。
“ガラッ”
勢いよく教室のドアを開けた。
「………」
俺は硬直状態に等しかったと思う。
だって、そうだろ。
そこには、泣いてる姫央と、それを抱きしめてる田辺の姿があったんだから。
いやな予感が的中してしまったことに、むしろ驚きを感じる。