わがまま姫♀
「…お前、ちゃんと捕まえとかねーと、本気で奪(と)るぞ」
「アレがおとなしく捕まってるタチか」
「俺は、アイツが好きだ」
「………」
千果の言ってたことは、どうやら本当だったみたいだ。
分かりきってた事だけど、俺の心臓にズシンと響いた気がした。
宣戦布告、だな。
「アイツはなんでお前がいいのか、俺にはさっぱり分からねぇ」
うるせーよ(怒)
本人に聞け。
「…お前、なんかしただろ」
俺がそう言うと、田辺は視線を俺からそらした。
「………」
やっぱり。
アイツを一目見て分かった。
絶対なんかあったな、と。
「…キスしたよ」
…あぁ!?
ふざけんなよ。
あの野郎、何回他の男に唇奪われたら気がすむんだよ。
コイツもコイツで、なに婚約者の前で堂々と浮気(キス)暴露してやがる?(←自分で吐かせた)
俺は何も言わず冷静を装ったままで、教室に入る。
机の上になげられたままの姫央の鞄を掴むと、またドアまで戻り振り返る。
「お前だけには死んでもやらねー」
それだけ言い残し、俺は走りだす。