わがまま姫♀



「…返事ぐらいしろよ」

「………」



なんとか言えよ。



開けなくていいから、顔合わせなくていいから、返事くらいしろよ。



これじゃ、生きてんのかも分かんねーだろ。



「おい、いつまで俺1人に喋らす気だよ」



俺、かなり惨めだろ。



たまにお手伝いさんが、会釈しながら苦笑いで通り過ぎる。



…くっそ(恥)



これじゃ、俺が悪いことして締め出されてるみたいだろ。



カッコ悪…。



「……はぁ」



もう開けてはくれないか。



と、諦めかけたその時。



「…なら、黙ってればいいのよ」



ドアの向こう側から聞こえた、姫央のか細い声。



「黙ってれば、お前が話すのかよ?」

「…何の用?」



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