わがまま姫♀
次会ったら、お仕置きしてやるつもりだったのにさ。
起きたら隣で一緒に寝てるんだから。
それは大反則だろ。
たまに可愛いことするから、俺はコイツに敵わない。
「…あのさ」
「…なに」
「田辺には、キス以上のことはされてねーんだろうな」
俺の後ろにいるから、表情は見えないけど。
「…うん」
少し遅れて帰ってきた返事。
コイツも千果に、ヤキモチ妬いて泣いていたわけで。
「…何回」
「1回、だけ…」
でも俺も、十分妬いてんだよ。
というか、好きな女が他の男にキスされて、黙ってる奴なんていない。
「俺、気短いよ」
「え…?」
振り返ると、毛布にくるまったまま正座して座ってる姫央。
やっぱり、たまらなく抱き締めてやりたくなって。
俺は姫央の方を向き、おいでおいでと手招きする。
素直に近寄ってきた姫央を、そのまま自分の方に抱き寄せた。