わがまま姫♀



あたし、今熱で弱ってるから、ついでに涙腺も狂ってんだ。



いつもなら、こんなことぐらいじゃ泣かない。



意地悪ばっか言うくせに、たまにあたしの心を丸ごとさらってくから。



だから流はずるい。



泥棒だよ。



「泣き虫」



流はフッと笑うと、あたしの頬に手をあてた。



涙の跡を、親指でなぞる。



「…違う」



もう片方の手も、同じように頬にあて涙を拭う。



「…じゃ、そろそろイチャイチャしとくか」

「えっ…!?」



流は両手であたしの頬を包んだまま、顔を近づけ唇を重ねた。



「……っ…!」



熱、うつっちゃうよ?!



あたし知らないよ!?



看病とか出来ないよ!?



「……っんぅ…」



ほてった体が熱い。



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