わがまま姫♀
あたしは早口でそういうと、猛スピードで家の中に入った。
──“ありがとう”──
って、言えた!!!
このあたしが、だよ!?
まだ心臓が、ドキドキ音をたてて鳴っている。
人に「ありがとう」なんて言うの、いつぶりだろう。
「…なにやってんの?」
声のする方を見ると、あたしを見ている陽向がいた。
「別に!」
「ふーん…(確実になんかあったじゃん)」
………。
「なんにもないっ」
「あっそ。…別に姫央の恋愛なんて興味ないからいいけど」
別に興味持たなくていいし!
「はいはい…っくしゅん!あ゙~寒い」
寒さに震えながら、陽向を通り越して自分の部屋へと向かった。