わがまま姫♀
「なんでもないっ」
慌てて顔を上げるあたし。
「あ、いた!流くーん!」
その時、背後から流を呼ぶ声が聞こえ、あたしと流は同時に振り返る。
「お、千果も来てたのか」
チカ…?
誰だろう。
「ずっと見てたよ。カッコよかった!」
「…あぁ、そう」
2人の会話を、目を丸くして眺めるあたしに、千果ちゃんが気付いた。
「あっ、いきなりごめんなさい」
「いえ…」
「あたし、大河内財閥の長女、大河内千果といいます。姫央さん達と同じ学校の1年生です」
そう言って、礼儀正しくペコリと頭を下げる彼女。
あたしとは大違いで、お嬢様っぽくて品がある。
「今沢財閥と大河内財閥は、昔からの付き合いだから、俺と千果もそんな感じ」
そっか。
幼なじみみたいな感じかな。
「姫央さん、これから仲良くしてもらってもいいですか?」