わがまま姫♀



俺は砂浜に腰をおろした。



姫央は俺の斜め後ろに立ったままだ。



波の音が、風の音と共に響く。



「さっき何してた」

「…え?」



姫央は俺を見る。



「さっきって…?」

「着替えた後」

「………」



黙り込む姫央。



「…牧原と、話してた」

「なにを」



俺は海を見たまま喋る。



顔見たら、俺まで泣きたくなる。



「言わない」

「………」



言わない?



俺には言えない?



「言えない様なこと話してたのかよ」

「…そうじゃないけど」



俺が怒ってるからだろうか。



いつもの強気な態度が、嘘みたいだ。



「ならなんで言わない」

「…言いたくないから」



…なんだよそれ。



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