わがまま姫♀



「…バカ」



想像しただけで心が、ジンジン痛くて。



辛いような、悔しいような。



「流のバカ!アホ!マヌケ…ぎゃ…!?」



最後まで言えなかった。



気付いた時には、流の胸が目の前で。



体に熱が伝わっていく。



「可愛くないのがお前だろ」

「……へ?」



耳元で、低い声で囁かれる。



可愛くないのが…あたし?



それ、褒めてんの?(←褒めてはない)



「お前だから婚約してんだって、同じこと何度も言わせるな」



可愛くないあたしだから、流は婚約してくれてるってこと?



「……流…」



こーんなにも、可愛くないあたしだけど。



「あたし…流と一緒にいたい」



流の胸に顔を埋めたまま言った。



あたしの口は裂けたも同然。



恥ずかしさで顔から火が出そうだ。



「……やべぇ。(可愛すぎる)」

「え?」



何かよく聞こえなかったんだけど。



< 460 / 566 >

この作品をシェア

pagetop