わがまま姫♀
「…バカ」
想像しただけで心が、ジンジン痛くて。
辛いような、悔しいような。
「流のバカ!アホ!マヌケ…ぎゃ…!?」
最後まで言えなかった。
気付いた時には、流の胸が目の前で。
体に熱が伝わっていく。
「可愛くないのがお前だろ」
「……へ?」
耳元で、低い声で囁かれる。
可愛くないのが…あたし?
それ、褒めてんの?(←褒めてはない)
「お前だから婚約してんだって、同じこと何度も言わせるな」
可愛くないあたしだから、流は婚約してくれてるってこと?
「……流…」
こーんなにも、可愛くないあたしだけど。
「あたし…流と一緒にいたい」
流の胸に顔を埋めたまま言った。
あたしの口は裂けたも同然。
恥ずかしさで顔から火が出そうだ。
「……やべぇ。(可愛すぎる)」
「え?」
何かよく聞こえなかったんだけど。