わがまま姫♀



その体が、怖いって言ってる。



なんでかな、嫌な予感がするんだ。



お母さん…?



なんでそんな顔すんの?



「…流には、ニューヨークに行って、経営を学んでもらいたいんだ」

「…ニューヨーク?!」



……経営を、学びに?



「1週間後だ」

「期間は流なら、最低でも1年…もしくはそれ以上ね」



たんたんと話す龍一さんと紗希さん。



だけど、あたしの頭はもちろんついてけない。



「期間は流しだいで、短くもなるし長くもなる」

「……俺、高校は?」



そうだよ。



まだあと1年間、高校生活残ってるんだよ?



……なんで。



「高卒の資格は向こうでも取れるから」

「だから残り1週間は、2人でいなさい」



お母さんは、静かに震えていた。



その背中を、お父さんが支えるように抱き抱えていた。



それを見て気づいた。



龍一さんや紗希さんの言い方は優しいけれど、これは決定事項なんだ。



あたし達がどんな反応をしようと、流は行かなきゃ行けないんだ。



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