わがまま姫♀
でも、あからさまに避けると怪しまれるし。
いつも通りの俺を装うので精一杯だ。
一緒にいる時は、いたって普通。
しょうもない言い合いだってするし、馬鹿なことで笑い合ったりもする。
唯一違うのは、俺が姫央に触らないということ。
端から見れば、今までと何一つ変わらない。
あと少しで、俺はアイツの隣からいなくなる。
同時に、俺の隣からもアイツはいなくなる。
日常生活から消える。
それがどれ程のことなのか、考えるだけで嫌になる。
そんな同居生活を送りながらも、出発の日は刻一刻とせまりくる。
…触りてぇよ。
けどそんなことをすると、離したくなくなるだろ。
歯止めがきかなくなれば、1年間ももつ自信がない。
我慢できなくて、ニューヨークから帰ってきただなんて、そんなダサいマネしたくない。
そんな事ばかりが、俺の頭の中をグルグルと回っていた。