わがまま姫♀
「ちょっと行ってくる」
「姫央ちゃん家か?」
「ついでに、「行ってきます」の挨拶してきなさいね」
のんきなこと言ってる2人に適当に返事をして、家を飛び出した。
「……寒っ」
2月の夜は、想像以上に冷えた。
上着もマフラーも忘れた。
口からは、白い息が出た。
それでも今は、とにかく走った。
アイツはなぜか、俺を必死にさせる天才だ。
前にも数回、こんな風に必死に走らされたことがある。
そんなに言うんなら、そんな必死になる必要ないって?
そんなの知るかよ。
体が勝手に動くんだから。
なんでか知らないけど。
アイツのこととなると、疲れすら感じなくなる。
走ることしばらく、アイツの家が見えてきた。
インターフォンとかチャイムとか、そんなことしてる場合じゃない。