わがまま姫♀



答えは決まってる。



この心に迷いなし!



『きっと、断れない』



津戸の言葉を頭の片隅に追いやって、あたしは断る事だけを頭に入れ込む。



あたしがステージに上がると、スゴイ拍手の音。



さっきこんなに盛り上がってたっけ?



「では歴史に残る、愛の言葉を…どうぞ!」



歴史に残んなくていいよ。



どうせあたし断るんだから、残ったら辛いじゃん。



怪しい男と、向かい合わせになるようにして立つ。



2人の距離は、推測5m。



「…1年前と、俺の気持ちは変わらない」



………。



会場のざわめきがピタリと止む。



「俺と結婚しろ」



………。



「キャーーッ?!」

「えぇーーっ?!」

「わぁーーっ?!」



全校生徒の叫び声が、異常なほど遠くに聞こえていた。



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