わがまま姫♀



「おぉっと!?前代未聞のプロポーズだぁっ!!」



…1年前。



変わらない。



結婚しろ。



なにその台詞。



目の前の怪しい奴は、ゆっくりゆっくりと、ニット帽マフラーを取り、最後にサングラスを外した。



………。



再び会場がざわつき始めた。



「おかえりって言えよ」



怪しかった奴が言うんだよ。



怪しかったはずなのに。



さっきまで、あたしの心には何ひとつ、迷いは無かったはずなのに。



「なが、れ…」



全身の力が抜けたあたしは、その場にペタンと座り込んでしまった。



足に力が入らない。



太ももにあたるステージの床は、ひんやりと冷たくて。



夢じゃ、ないんだ…。



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