わがまま姫♀
「っ」
途端、プツンと糸が切れたかのように、大粒の涙が目から溢れ出した。
「遅いよ…っ」
今目の前にある、あの人は本物。
幻でも、妄想でも夢でもなく、本物の流。
涙で視界が歪む。
会場はあたし達2人を、ドラマの最終回を見るかのような面持ちで、見守っていた。
「なら、お前が言えよ」
流はあたしの側に来て、膝をついてしゃがんだ。
そういえばあたし、そんなこと言ってたっけ。
流と離れる前日。
あの時は、本当にそう思ったから。
今だってそりゃ、思ってるよ。
思ってるけどさ。
とはいえこの状況。
心臓はドックドクのバックバクだ。
流との距離は、推測25cmとかなり近め。
もう、どうなったっていいか。
ただ、言いたかっただけなんだから。
と、あたしは腹をくくった。
「約束破ったんだから、死ぬまで一緒にいろ。バーカ…」