わがまま姫♀
そしていきなり、視界がパッと明るくなる。
唇がソッと離れる。
あたしの視界を塞いだのは、流の手。
あたしの唇を塞いだのは、流の唇。
「流くん、姫央ちゃん、お幸せに~!」
「お似合いだよ~!」
「おめでとう~!」
いつの間にか、全校生徒公認のカップル!?
全校生徒の前でチュウかましちゃってるし、当たり前か。(←当たり前ではない)
「……バカ」
いきなり帰ってきて。
いきなりプロポーズして。
いきなりキスして。
いきなり全校生徒公認のカップルで。
わけわかんないっつーの!
「なに」
「別に!」
まぁ、これでいいのかな。
こんなドタバタも、嫌いじゃない。
2人が笑っていられるなら。
『きっと断れない』
いろんな人に、心配かけて。
見守られて、励まされて。
だから乗り越えられた、そう思う。
「皆さーん、ベスト名ゼリフ賞の投票をお願いしま~す!」
再び大きな直人くんの声が、会場に響く。