わがまま姫♀



「流、舞踏会出る…」

「出ない」



…だよね。



「言うと思ってた」



あたしも流も、別にダンスが踊れない訳じゃないんだよ?(←※社長息子、令嬢)



将来のためにって、小さな頃から教え込まれてきたし。



「これからどうするの?」

「…帰る」

「えぇ…?!」



流はあたしの手を引いて、スタスタと歩き出した。



辺りはもう夕焼け色。



3月なんてまだ寒いけど、繋いだ手には温もりを感じる。



それだけで、嬉しくなる。



この気持ちは、久しぶりだ。



1年前よりも、少しだけ髪が長くなってる流の背中を見ながら、そんなことを考える。



「お前さ」

「ん?」

「俺が最初に出てきた時、すっげーブスな顔で見てただろ」



少し眉間に皺寄せて言う流。



「断る気満々の顔して出てきやがって」

「いや、それは…!」



図星だ…(汗)



でもブスって…!



「図星だろ」

「ち、ちが…(わない。むしろ当たってるし)」

「………」



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