わがまま姫♀
いつかなんてないから。
無性に伝えたくなった。
無性に愛しく思えたから。
少し離れてしまった愛しい背中に向かって、息を吸い込み思いきり叫ぶ。
「流ーー!!!」
少し驚いたように足を止め、ゆっくりと振り返る流。
夕焼けで紅く染まったふたりの頬。
少し冷えた空気を、スーッと吸い込む。
「言い逃げするなー!!」
流はあたしをずっと見つめている。
だからあたしも伝えたいんだ。
目をみてちゃんと。
「…スキ!スキすぎて、訳分かんないくらい、ダイスキ!!」
はぁ、はぁ…!
ねぇ、伝わったかな?
こんな言い方しかできないあたしだけど。
アンタの前だと、いつも可愛くないあたしだけど。
“死ぬまで一緒にいろ、バーカ!”
“俺が、死ぬまで一緒にいてやるよ”
こんなあたしと、一緒にいてくれるんでしょう?