わがまま姫♀
30歳は、言いすぎたかな。
もうちょっと若いよね。
「んー…25歳?」
「ま、そんなところですかね?」
え、疑問系だけど?
はっきり教えてくんないの?
「牧原、なんで執事なんかやってんの?」
……こんなあたしの。
「姫央さんに逢いたかったから、ですかね」
「………」
……え?
逢いたかった?
このあたしに?!
牧原はにっこり微笑むと、部屋を出ていった。
牧原って、いったい何者なんだろう。
以外と謎が多いよね。
“ピーンポーン”
その時、玄関のチャイムが鳴った。
牧原が出たのだろう。
玄関で話す声が、ここまで聞こえてくる。
しばらくして、
“ガチャ”
あたしの部屋のドアが開いた音がしたのと同時に、
「風邪引いてるんだってね?」
という、遥の嫌味。
あたしは体を起こして、軽く遥を睨みながら言い返す。
「いろいろあんの!」
「いろいろ、ねえ?」
なにこの顔?!