わがまま姫♀
最後に、「それが礼儀」そう言って微笑んだ。
…なんか。
お母さんには、あたしの気持ちが見透かされているみたいで。
目を合わせらんなくなった。
「…分かった」
ボソッとそう言うと、あたしはリビングを出た。
「はぁー…」
長い溜め息が出た。
「大変ですね」
「へ?」
横から声がした。
「牧原…」
「姫央さん、好きな人ができたんじゃないんですか?」
「えぇっ!」
ななな、なんで牧原が!?
「はは、姫央さんの反応見てたら誰だって分かりますよ」
いや、きっと今ので分かるのは、お母さんと牧原くらいだよ。
「牧原。あたし、どうしたらいいと思う?」
こんなことを牧原に相談するのって、おかしいかな?
「奥様も一度は会いなさいとおっしゃってますし、それは避けられそうにないですね…」
「……うん」