わがまま姫♀
「俺は知らない」
「嘘ばっかり」
嘘ついた。
お嬢様にしては、なかなか鋭い。
たとえ鋭くっても、言えないもんは言わないが。
読者様は、気になるだろ。
ホントのとこ、その理由ってのが…
―――転校初日の朝。
「流。姫央ちゃんには、婚約のことはまだ言ってないらしいから、お前も黙っておきなさい」
朝食のパンを食べながら、朝のニュースを見ていた俺に、親父が言った。
「は…?」
じゃあ俺は、今日からどうやって、ソイツ(婚約者)に接していけばいいんだよ?
「じゃ、関わんなくていいんだろ?」
「それが、そういう訳にいきそうもない」
親父の言葉に、ますます訳がわからない。
「桃井さんが、席を隣にしてくれと学校に頼んだんだ」
「は?!」
うちの親父は、桃井財閥の社長に頭が上がらないらしい。
権力の差だな。(←大人の事情です)