わがまま姫♀
「姫央ちゃんに言う前に、お前と仲良くさせてやりたいと言っててなぁ」
「はあ…」
ということは、俺は婚約のことを隠しながら、婚約者(ソイツ)と仲良くするわけ?
……めんどくさ。
「とにかく、そんな顔したって駄目だ。お前に拒否権はないからな!」
「…わかってる」
今回の婚約には、今沢財閥の将来がかかってる。
つまり、今の今沢家に余裕は無い。
「俺もう行くから」
「気を付けてな」
そう言って俺は家を出た。
―――――という訳だ。
だから、家庭の都合。
先生たちも知ってる。
俺がこの学校にきた、本当の理由。
ただ、コイツだけ知らない。