わがまま姫♀
「お嬢様は、もっといいやつ買ってもらえるだろ」
「な…」
……ぷ。
なんでか“お嬢様”という単語に、敏感なんだよな。
よっぽどお嬢様が嫌なのか。
「いちいち、お嬢様とか言わないでよ!」
「事実お嬢様だろ」
「ち、違うもん」
いや、違わねーだろ。
ちょっとおとなしくなった。
と思ったその時、
「桃井さん、ちょっと邪魔~」
そう言うなり、俺たちの間に入って来たのは、いつも姫央をいじめたがる奴。
椎野百合果(シイノユリカ)。
なんだかんだ言って、姫央につっかかってくるんだよな。
姫央のことが、好きなのだろうか。
コイツは椎野のこと大嫌いだろうから、完全なる片思いだけど。
「痛っ?!」
「あら、ゴメンね~流君が迷惑そうだったから」
「………」
俺のせいかよ。