もう少しだけ、あなたのそばに
ホテルに入って行くと、一人の男性が近づいてきて、
「いらっしゃいません。新城様」
「久世さん。今日は、急に悪かったね。」
「いいえ、とんでもございません。」
そんな会話を私は秋に隠れるように後ろで聞いていたのに、そんな私に視線を向けると、
「いらっしゃいませ。花憐様。
わたくし、当ホテルの支配人をしております、久世と申します。どうぞ、よろしくお願い致します。」
と丁寧にお辞儀をされて私も慌てて頭を下げた。
どうして、私の名前を知っているのかとか、いろいろとあるけど、今は黙って二人の後を付いていくことに。
通されたのは、ある一室。