もう少しだけ、あなたのそばに
客室でもないし、レストランでもないみたいだけど・・・・・・。
「こちらは、特別なお客様にゆっくり寛いでお食事をしていただこうとご用意してございます、お部屋でございます。
ホテル内のお料理でしたら、すぐにお持ちできますので、どうぞ、ごゆっくりしていらしてくださいね。」
さすが、ホテルマン。
笑顔もさりげなくて好印象。
だけど、そんな彼に私は苦笑いしか出来ない。
なんて答えればいいのか、わからずに秋に視線を向けると少し笑って、
「久世さん、少し選ばせてもらいます。」
と支配人さんに告げると、「はい、では、お決まりの頃にまた伺います。」
と言って出て行った。
なんだか、ずっと緊張していたようでなんだか、ホッとした。
そんな私の手を引いて、大きな窓の傍まで連れて行く秋。
「ほら、ここからの眺めもなかなかじゃないか?」
秋はさっき、私がオフィスから夜景を眺めて笑っていたのを見て、私が夜景好きだと思ったらしい。
「ここからの夜景も有名なんだ。」
確かに・・・・・。