もう少しだけ、あなたのそばに
嘘なんてつけません。
リビングまで、私の手を引いて帰ってきた秋は、くるりと私の方に振り向くと、
「花憐。本当に河合さんと二人で飲んでたの?」
「え?」
「・・・花憐から男の臭いがするんだけど。」
嘘・・・・・・。
そんな移り香ってすぐに付くものなの?
毎日、女の人の移り香をつけて帰ってくる秋にそんなこと言われたくないけど、連絡しないで遊んだ私も悪いし・・・・・・・
「花憐?」
「・・・梨乃の・・・元彼と少し飲んでました。」
「河合さんの?」
「はい。寄りを戻したいらしいです。」
「ふ~ん。そうなんだ。・・・じゃあ、花憐は、俺に連絡もしないで男と呑んでたんだ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「花憐。顔を上げろ。」
こうなると、秋は、すごく怖い。