もう少しだけ、あなたのそばに
私のお腹に腕を回すと、


「今日は、花憐にお願いがあって、早く帰ってきたんだ。」


「私に?」


「ああ。花憐、明日手伝ってほしいことがある。」


「・・・はい。私に出来ますか?」


「うん。出来る。」


「何をすればいいですか?」


「うん。明日、俺と一緒に会社に行って。」


「か、会社??!」


「そんなに驚くなよ。」


「だって、だって」


「明日な、パリから資料が届く。その翻訳をしてほしいんだ。」


「翻訳ですか?」


「ああ、花憐のフランス語の語学力はよく知っているし、任せたいんだ。」


「あの、私、大丈夫でしょうか?」


「ダメなら最初から頼んだりしない。
英文なら任せられ奴がいるんだけど、相手はフランス語しか出来ないらしい。
だから大学休ませて悪いんだけど、手伝ってくれないか。バイト代も弾むし。」


「いえ、バイト代なんて。秋にはお世話になりっぱなしですし、私でお役に立てるなら」


「そうか、よかった。じゃあ、明日は一緒に出るからそのつもりで。」


「はい。分りました。」


「それと、もう一つお願いがあるんだ・・・・・」


なんとなく、言いづらそうな顔の秋。



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