もう少しだけ、あなたのそばに
緊張のアルバイト
そして朝、いつもより家を出るのが早い私は、準備に追われていた。
それでもなんとか準備も出来て秋と一緒にマンションを出ると、エントランス前には黒塗りの車が。
秋の専属の運転手さんが、後部座席の扉を開けて待っていた。
「おはようございます。常務。花憐様。」
「ああ。」
「おはようございます。今日は、よろしくお願いします。」
私がきちんとお辞儀をすると、
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。どうぞ。」
と私を車の中に誘導してくれる。
すでに車に乗っている秋の隣に少し間を空けて乗ると、扉を閉めてくれた。
ホッと一息つくと、隣から手が伸びてきて、引っ張られる。
「キャッ」
しっかりと私の腰に手を回した秋が、
「なんでそんなに離れて座る。ちゃんと、隣にいろ。」
と威嚇する。