もう少しだけ、あなたのそばに

車が秋の会社の前に止まり、車から降りると現実が待っていた。


秋が降りると、秘書の島津さんと何人かの社員がお出迎えに出ていた。



「常務、おはようございます。」


「ああ。」



秋はさっきまでの優しい声とは比べ物にならないくらい、仕事モードの冷たい声になっており、私は少し固まってしまった。



すると、島津さんが車の中を覗き込み、



「花憐様。おはようございます。」


とあいさつをしてくれて、


「お、おはようございます。」


私も慌てて、外に出る。


すると、もうすでにガラスの扉から建物の中に入ろうとする秋と数人の社員さんの姿が見えた。



「さあ、私たちも行きましょう。」



軽く私の腰に手を添えて促してくれる島津さんは、数回しかお会いしたことはなかったけど、とてもジェントルマンだ。



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