もう少しだけ、あなたのそばに

私がこの部屋に来るまで、彼はこのマンションで、一人で住んでいたのだろうか?

ここは3LDKの間取りだけど、一つ一つが無駄に広い。


リビングなんて何畳あるのよってくらい。

キッチンもとっても立派だったけど、私が来る前は誰も使っていなかったみたいに綺麗だった。



冷蔵庫も備え付けなのか、これまた無駄に大きい。


この大きな冷蔵庫に一つだけいいことがあるとしたら、冷凍庫も大きいこと。


彼は、仕事で帰りが遅くなることはしばしば。


食事がいらないときもあれば、いらないといったのに突然帰ってきて食べるときもある。


そんなときに備えて、冷凍庫にはストック食品をいつも常備している。


誰もいない部屋で食事の準備をしながら、掃除やら洗濯などをこなしていく。


もちろん、梨乃のリクエストであるパウンドケーキも忘れずに作った。



今日、帰りが遅くなると言っていた彼がいつ帰ってくるのかは不明。



だから、さきにお風呂に入って待っていることにした。



お風呂から出た所で、



ピンポーン



ドアホンがなる。



慌てて玄関モニターを確認すると、彼だった。



< 6 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop