もう少しだけ、あなたのそばに
見えてくる現実
秋の後を書類をもって付いて行くと、さっきまでいたフロアーと違って人がたくさんのフロアー。
私は、秋の後ろに隠れるように付いて行った。
それでも、秋はこの会社の重役でもあるし、この容姿。
目立たない訳はなく、特に女子社員から視線は少し怖いくらいだった。
そんな彼の後ろを付いて歩く私もまた、好奇の目にさらされて居心地が悪い。
そんな居心地の悪さを我慢してやっと企画室に入ると、入口付近いた女性に秋が声を掛ける。
「君、お願いがあるんだが。」
秋の声をかけられた彼女は、凄く嬉しそうに笑顔で返事をしている。
「彼女にコピー機を使わせてほしいんだ。それから、少し使い方を教えてあげてくれ。」
「はい。かしこました。任せてください。」
キラキラ笑顔で秋に返事をすると、私に視線を向けて、
「どうぞ、こちらです。」
と促してくれたので、彼女の方に近づこうとすると、
「花憐。」
と秋に呼ばれて、振り向くと、
「終わったら、あそこにいるから、すぐに来ること。いいね。」
秋が指差した方に目を向けると、朝、会った森室長の姿が見えた。