もう少しだけ、あなたのそばに
それが、どのくらい続いたのだろうか、気がつくと部屋のドアから島津さんが入ってきた。
「どうかなされましたか?岸様。」
今まで知らなかったけど、彼女は岸というらしい。
「いいえ、忘れ物をしたかと思いましたの。でも、なかったみたいだわ。」
「そうでございますか。では、次回からはそのようなことがございましたら、わたしくに一声おかけください。
お探しいたしますので。」
「あら、気にしないで 。新城さんと私の仲ですもの。」
「いいえ、岸様。こちらは常務のお部屋でもありますが、会社でもあります。
ご不快な思いをなされたかもしれなせんが、ここはお聞きわけいただきたい。」
彼女の顔が見る見る赤くなる。
「島津さん。秘書のあなたが私に指図されるおつもり。
いいわ、この事は、新城さんに私から報告するから。」
ズカズカと部屋を出て行く岸さん。