不思議な姫
薄い青のシャツに、赤と黒のチェック地のネクタイ、グレーに赤と黒のチェックが入ったスカート
黒髪の肩までの長さのウィッグを被り
ブラッシングする
「変装の出来上がり」
地毛は、ミルクティー色だから今鏡に映る自分とは、かけ離れている
遅刻でもしたらいけないし
行くとしようかな
リビングに出てコーヒーを飲み
自室の机の上に置きっ放しにしていた、鞄を持ち玄関に向った
そして黒のスニーカーを履き
「行ってきます」そう言って家を出た
ドアの閉まる音は、この広い無人の家に虚しく響いた