【短編】不器用なあたし達の愛の証
本当に、手に負えない。
蓮はあたしをお姫様抱っこしながら寝室に運び、優しくベッドの上に置いた。
そうして、あたしの上に覆いかぶさる形であたしをギュッと抱きしめた。
ふわり、嗅ぎ慣れた煙草とシトラスの香りがあたしに異常な程の安心感をもたらせて。
単純なのだ。
結局、あたしは蓮しか見えてない。
「俺が早めに帰ってきた本当の理由、知りたい?」
「うん」
「…お前に会いたかったから」
普段は、そんな優しいこと言ってくれないくせに。
「お前さ、俺がお前のことどんだけ好きか分かってんの?」
蓮の真剣な瞳が、真っ直ぐにあたしをとらえる。
「…ううん」
「一年半も一緒にいて、まだ分かんね?」
「まだ分かんないよ、全然分かんない」
その夜、あたしは蓮にたくさん愛された。