もう一度君にKISS
one
七年前
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8月1日
私は母に連れられておじいちゃんとおばあちゃんの家に来た。
「ひまちゃん、おじいちゃんとおばあちゃんの言う事聞いていい子にしててね」
いい子にしててね
って私何歳だと思ってんの?
一言だけ言い残して去っていった母の背中を眺めながら心で呟く。
母は今から仕事でアメリカに行くそうだ。
昔っから仕事人間の母
旦那と娘が出来たのにも関わらず、
仕事に没頭する日々。
そんな母に愛想をつかした父は家を出ていき、離婚。
もう10年も2人だけの生活をしていた私と母。
だから母がアメリカに行くと私は1人になってしまうのだ。
別に1人は慣れてるし、もう高校生だし、一人暮らししてもよかったんだけど
変なところで母親らしい母は
「おじいちゃんとおばあちゃんの家に行きましょ!」
なんて言い出して今に至る。