HIVに捕らわれて
二杯目のコーヒーが置かれました。


富岡はゆっくりとカップに口をつけ、音を立てて黒い液体をすすり、唇についた液体を舌で舐め、赤黒い舌をちょろちょろ見せて、僕はこの舌がサキの体を這ったのかと思い、絶望的な気持ちになりました。


「あんたと、サキの関係は知ってますよ」


凪いだ湖に小石が投げ込まれました。


波紋がゆっくりと岸まで届きました。

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