HIVに捕らわれて
「あの女はどうやら、あんたに本気で惚れたらしい。

せっかく、飼い慣らして来たのに、全てが水の泡になった。


これもみんな、あんたのせいだ。


あんたに仕事を依頼したのが、間違いだった。


あんたにあの女が惚れるなんて、思っても見なかった。


金のかかる女でね、色んなものを与えてきたよ。


なのに、あんたときたら、何も持ってない。


社会的にはゼロの男だ。


どんな建物でも、相場の半分の金額で設計をする。


それがあんたの世間の評判だった。


世間というよりも、この狭い地域でと言ったほうが良いかな。


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