線香花火
「なあ、さっき線香花火で
長く残ってた方が
願いが叶うって言ってたよな?」
「あ、うん。言ったよ?」
「なら、勝った方が
願いを宣言するのはどうだ?」
「え!?言ったら叶わないよ!」
私が驚いて声を
張り上げると亜樹斗は
「そんなのわからないだろ!
叶うかもしれないぞ?」
と言って笑った。
「あー、もう!わかったよ」
と、やけくそになって私は言った。
願いは言いたくなかった。
この願いはひっそりと
自分の胸に閉まっておくのだ。
この願いを言うことになるなら
負けた方がまだいい。
こんな願い、叶うはずがない。
《亜樹斗が私に想いを
寄せてくれますように》
なんて。